最低ウォリーのラジカセ

書きたいことを書き殴ります。暴力です。 声変わりしてない人は帰ってください。 Twitter:@siteAworry

不幸のリュックを背負った幸福くん

 

ノートパソコンで作業しようと思った時に限ってバッテリーがない

ギターの練習をしようと思った時に限ってお気に入りのピックがない

大事な連絡がある時に限ってスマホをどこに置いたか忘れる

今日は頑張るぞって日に限ってSuicaが見当たらず出発が遅れる

普段以上に音楽が聴きたい日に限ってイヤホンのイヤーピースが消え失せる

 

不幸と幸福は交互にやってくるというが、そんな高頻度で幸福は来ない。

 

幸福を仮に、幸福くん(6歳くらいの少年とする)と名付けてみる。

幸福くんを遠足に連れて行くと、彼はリュックに不幸を詰めて走ってくる。

「不幸はおやつに入りますか?」と聞いてくるので、「入りません」と言うと幸福くんは遠足に来ない。

「入ります」と言うと幸福くんはリュックパンパンに不幸を詰めてくる。おやつくらいならいいのにディナーのレベルでパンパンに詰めてくる。

そしてドジっ子の幸福くんは俺の目の前で転ぶ。俺に向かって不幸をぶちまける。俺は散々な目に遭いながら不幸を拾い集め、それを幸福くんに渡してあげると「ありがとう!」と満面の笑みで言うのだ。

世の人は、その笑みをさして幸福と呼ぶ。

 

もし幸福くんの満面の笑みで言う「ありがとう!」が聞きたくて不幸を積極的に拾い集めるなら、あなたはドMである。しかし、そうなれれば拾っていく不幸も、幸福に見えてくるかもしれない。

 

幸福くんは人によって異なる。幸福ちゃんの場合だってある。

あの子の幸福ちゃんはいいよな。女の子だし、小さめのリュックに少なめの不幸、サッと拾って渡してあげると女神のような笑顔で感謝し、慕ってくれる。あんなの見たら誰だってロリコンになる。

あの子の幸福くんは凛々しい男の子。しっかりしているのでそんなに転ばない。転んでも全然不幸をぶちまけない。

いろんな幸福くん・幸福ちゃんがいる。

 

俺はというと

ぶちまけられた不幸をとりあえず集めて渡すと「なに?感謝されるとでも思った?キモッ。」とギャル並みの形相で言われる。ギャルならむしろ歓迎だが、相手は幸福くん。しかも俺のところに来る幸福くんは、ちょっと太っていて仏頂面のガキ、世渡りが下手そうなことしか言わない。俺が不幸を拾い集める姿を醜いものを見るかのように眺めてくる。

こんな生意気なガキによって俺は日々一喜一憂を課されるのだ。

 

しかし俺はこのクソガキに幸福を牛耳られている。

もしこいつが「キモッ。でもまあ、ありがとよ。」くらいまでツンデレた発言をしてくれれば、俺は心底吐き気を催してその日1日トイレに篭るかもしれないが、少なくとも感謝された時点で1歩である。

このクソガキが満面の笑みまでいかずとも、笑って「ありがと」と言ってくれるまで毎回付き合わなければならないのだ。

もはや俺が不幸を拾い集める姿を見てあいつがあざ笑ったりしてくるのも、それもそれで笑顔なのだ。

とにもかくにも、不幸を拾い続けなければならないのだ。

 

ノートパソコンのバッテリーがなくて、スマホがどっかに消えて、イヤホンのイヤーピースが消え失せて、壊れかけのレディオが壊れて、もっとすごいさらなる極上の不幸が降りかかっても、幸福くんがいつか笑うと思って拾っていくしかないのだ。

 

「はあ」疲れて椅子に腰掛けると、尻に違和感。よく見るとスマホが俺の下敷きになっていた。

そのマヌケな行動を見ていた幸福くんが腹を抱えて笑っている。

もう、細かい不幸とかどうでもいいか。